与贈工房物語③ ~産みの苦しみを経て、アメーバ型のチームが誕生~

産みの苦しみを経て、アメーバ型のチームが誕生


それまで、関わりの薄かった6人が集まり、相互理解を深めながら、進むべき方向を見つけるオンライン対話が始まりました。話は、まず、収益化モデルをどのようにして作るのかという方向に進んでいきました。中西さんのイメージとてっちさんのイメージとが重ならず、相互に否定するエネルギーが回りました。

「田原真人」というブランドを使って収益を上げていくプランとして、中西さんのプランAとてっちさんのプランBとがあり、それぞれのプランを実現しようとすると、もう一つのプランをやろうとする相手に足を引っ張られるという感覚。

世界の分断を癒やすために始めたいと思って結成したチームに分断が起こっていくという矛盾に心を痛めました。

前に進めないまま、時間ばかりが過ぎていき、実現可能性が高そうなてっちさんのプランBを選択して、中西さんを切り捨てて前に進むしかないんじゃないかという気持ちが生まれてきましたが、私の中には割り切れない想いもありました。ストレスで首と肩が凝り、右腕がしびれるようになってきました。

そんなとき、飛行機で7時間移動する機会がありました。機内でプロセスワークに出てくる身体症状と対話するというワークをやりました。右腕のしびれが何を自分に語りかけているのかに耳を澄ますと、右腕に蛇が巻き付いているイメージが浮かんできて、その蛇の顔が中西さんになりました。

その中西さんの顔と6時間、対話を続けました。はじめの2時間は、中西さんを切り捨てなくてはいけない理由を並べ立てて、中西さんを説得しようとしていました。4時間くらい説得を続けた後、ふっと、自分の言葉が、しらじらしく聞こえはじめました。自分がやりたくないことを、自分自身に納得させるための言葉だったんだと気づきました。論理的に考えれば、中西さんを切り捨てるのが正解かもしれないけど、自分の魂はそれをやりたくないと言っていることに気づきました。自分がやりたい組織は、合理性と魂と、どちらを優先する組織なんだろうかと考えたら、答が出ました。

プランを実現するために私たちがいるのではなく、
私たちがともにやっていくためにプランがある。

チームでの対話で、自分が考えたことをすべて共有しました。それぞれが、正直な気持ちを表現し、ここに、この6人が集まっている意味について考えました。多様な人たちが自分らしく存在できる世界を出現させるためには、多様な個性がチーム内に揃っていて、その違いから学んでいくことが大事なんだという気づきが生まれました。

ようやく前に進む準備が整いました。

場の研究所の清水博さんの「いのちの与贈循環」という言葉から「与贈」という言葉をいただいて、与贈工房という名前をチームにつけました。個人のいのちと組織のいのちとの二重生命状態から「活き」が生まれて、そのエネルギーによって個人も組織もいのちが躍動するような活動を、この場から作り出して、世界に広げていきたいという願いを込めました。


Yozoをもじった自転車のようなロゴができました。そのロゴを眺めながら、次のような言葉が浮かんできました。

貯蓄するより与贈を生み出して自転車操業。世界にとって意味のある存在なら、倒れないように世界が支えてくれるはず。