与贈工房物語①~大切なことはすべて「粘菌」から学んだ~

大切なことはすべて「粘菌」から学んだ

私(田原)は、個人と組織や社会との関係を理解したくて、大学院で複雑系の物理を専攻し、粘菌の形態形成や自律性の起源を研究していました。

細胞性粘菌は、単細胞アメーバと多細胞の移動体という2つの状態をライフサイクルの中で持つため、個人(単細胞アメーバ)と組織(多細胞体)との関係を考える上でのプロトタイプとして、非常に参考になる存在です。

 また、真性粘菌は、編み目のような構造を取り、各部分が受け取った情報を統合しながら動き回り、あたかも知性を持っているかのように振る舞います。

粘菌を通して宇宙の謎を解こうとした人物として、南方熊楠が有名ですが、粘菌には、本当に「生きること」のエッセンスが凝縮されています。
※タマホコリカビ類  変形菌 ~Wikipediaより~

生命的な組織を頭で考えて設計するのではなく、細胞性粘菌が集合して移動体を作るように、いのちのはたらきによって自己組織化が起こり、真性粘菌のように情報を動的に統合するような組織が生まれるようなプロセスを作れないか?

そのような問いを心に抱いて、組織の形態形成のプロセスがスタートしました。